オーストラリア人( )の訛りに振り回されるマッツ(2017/1/27記事)


前回の記事で触れられてた「英語のアイデンティティをまだ探してるよ」の元ネタと思われる記事の和訳を置いときますね!
まだまだ訳すの(`・ω・´)

記事はこちら!UKのリベラル系新聞社Independentの2017/1/27付の記事です。
Independent割と好き。UKはGuardianとIndependent、USはNYT派。

では和訳。いつもの通り[ ]は私の補足やコメントです。たまに感想書いててごめん。( )は元の記事に書いてあった括弧。


Source: http://www.independent.co.uk/arts-entertainment/films/features/mads-mikkelsen-interview-men-and-chicken-star-wars-doctor-strange-hannibal-season-4-a7158676.html

マッツ・ミケルセン: 「僕は英語でのアイデンティティを未だに探し続けている」

その『Men & Chicken』の俳優は、The Independent誌とのインタビューの中で、ハリウッドの悪役の顔[go-to villain]であること、ローグ・ワンの再撮影、ドクター・ストレンジ、そしてハンニバルのシーズン4に戻ってくることについて語った。

『カジノ・ロワイヤル』でのル・シッフル役から、現在はキャンセルされている『ハンニバル』での同名の役まで、マッツ・ミケルセンは素晴らしい悪役を演じることで国際的に評価されてきた。

しかし、50歳の彼の母国であるデンマークに戻ると、物事は少し違ってくる: ミケルセンはハリウッドの超大作で知られている一方で、評判の高い監督であるAnders Thomas Jensen氏との作品でも同様に知られているのだ。この2人は『The Green Butchers』『Adam’s Apples』『The Salvation』『Men & Chicken』で一緒に仕事をした。

特にダークなコメディ作品である『Men & Chicken』では、ミケルセンは子供の知性を持った大人の男を演じている。観客が初めてその男、Eliasを紹介されるとき、作品を通じて繰り返されるテーマである彼の自慰の問題について彼がセラピストにかかる酷いシーンを目にする[若干意訳]。Eliasと同様に彼の兄弟達も周りの世界について最小限の知識しか持っておらず、それがその作品を興味深く、発見が多く、むしろ陰気なユーモアのある物語へと仕立てあげている。

その作品のプロモーションのために行われたThe Independent誌との電話インタビューにおいて、彼はハリウッドの悪役の代表格[go-to villain]であることと、来たる『ドクター・ストレンジ』と『ローグ・ワン』での彼の役について語り、『ハンニバル』が帰ってくる可能性についても触れた。

インタビュアー(以下I): 『Men & Chicken』で仕事をされてからどのくらい経ちますか?

マッツ・ミケルセン(以下マッツ): それを撮影してから今日でちょうど2年。でも僕の頭の中では1年前のようだよ。

I: その作品にはかなりダークなユーモアのセンスがあります。かなり奇妙な。その脚本と – 特に – あなたが演じるその役柄に惹かれたのはなぜでしょうか?

マッツ: そのユーモアのダークさは、僕が最も魅力を感じたもののひとつだったよ。[監督と自分で]コメディに対する姿勢が違っているといつも大変だけど、僕のやり方は(監督である)Anders Thomas Jensenと同じだった。それが魅力的だったんだ。僕はその登場人物たちも好きだ。彼らは大人の体に閉じ込められた子供たちで、基本的に子供のように振舞っている。それ[その設定]は壮大で詩的なことについての物語を語るのに素敵な方法だ。物語を語るために子供たちの方法を使う、それは天才的だ。

I: その作品と、特にあなたの役であるEliasの根底にはかなり奇妙な流れがあります。彼は純粋な心を持っていながら、常に自慰をしています。この型破りな役をすることは面白いものでしたか?

マッツ: 君は根底の流れ[the undertones, the undercurrents]と言うけど、それはその役にとっては根底に流れているものじゃないんだ。彼が自慰をしているのは明白で、彼が秘密にしているものではないんだ。子供のように[隠していない]。行間から読むべきものは、明白なものではないよ。
[*そんな見て分かる部分じゃないとこを考えてみてね、という意味で言ってるようです]

I: 最近アメリカの作品でたくさんの悪役を演じてこられたので、この違う役を演じてホッとされたのではないでしょうか。

マッツ: 僕はAnders Thomas Jensenとは以前も仕事をしていて、ヨーロッパでの僕の作品の多くは悪役とは反対のものなんだ。Anders Thomasと仕事をするのはとても楽しかった、それだけだよ。その役を選んだ理由は彼なんだ。

I: それらのヨーロッパの映画、例えば『偽りなき者(The Hunt)』では、あなたはよく「良い」役をされています。でもハリウッドの大作では悪役。それは何故でしょう?

マッツ: それは答えるのが難しいな。悪役に英国人を使うのがずっと主流だったんだけど、何らかの理由で、彼らはもっと面白い訛りのある役者に悪役を演じさせる必要があったんだ。北欧人のようなね。僕たちが今は悪役なんだよ。彼らが何でそうしているのか、は答えるのが難しい。でも僕は喜んでるよ。もしアメリカで僕の代わりが出てこなければ、永遠に悪役をしたいくらいにね。ボンド映画やハンニバルのように、悪役をただの敵対する役と呼べないような素晴らしいプロジェクトの一員となれて、僕はおかしいくらいに幸運だった。僕はほんとうに恵まれているよ。

I: 『Men & Chicken』には多くの人が慣れ親しんでいるユーモアとはかなり違ったセンスのユーモアがあります。北欧のユーモアは英国やアメリカのものとどう違いますか?

マッツ: 僕はずっと、僕たちと英国は似ている部分がたくさんあると思っていた。僕たちは英国のユーモアのセンス、特にモンティ・パイソンとともに育った。モンティ・パイソンにはある程度狂気が含まれているよね。僕たちはずっとそれを愛していたし、それを[ユーモアだと]認識してもいた。Anders Thomasは必ずしもデンマークのユーモアを代表しているわけではないよ。彼はとことん彼自身なんだ。彼がしていることを他の人がしてるところなんかきっと見られないだろうし、彼がしていることを他の人たちと比べるのはかなり大変だ。それはコーエン兄弟やデヴィット・リンチのクローン[のようなもの]だけど、彼を説明するのはそれでもかなり難しい。

I: 小さな制作会社で仕事をするのと、大きな制作会社で仕事をするのはどう違いますか?

マッツ: 超大作では起きて挨拶するのは500人とかだけど、ここでは20人とかに話しかける。全ての物事の規模がかなり違う、けど – そういえば – 君は座ってて、色んなシーンや僕たちが何を作ろうとしているかについて話をしてて、そして君はそれらを読み手に伝わりやすくしようとしてる。その”全ての物事”の大きさに関わらず。僕たちは、与えられた枠組みの中でできうる限り懸命に仕事をしてる。それはみんなしてることなんだと思うよ。たとえ何か非常に大きな物に取り組んでいたとしても。それが物事に取り組む唯一の方法だ。

I: どちらをするのが好きですか?

マッツ: 両方。剣を持ってワイヤーに吊られて飛び回るのも素晴らしいし、まったく逆のことをするのも素晴らしい。もしその両方を行ったり来たりできるなら、それはかなり幸運だ。[最後の文は”誰でも”という意味のyouで言ってるけど多分これ自分が幸運だと言いたいんだと思う]

I: あなたは多分、そういったより小規模なプロジェクトをする方がずっと心地よい[comfortable]ますか?

マッツ: このプロジェクトをするのはかなり心地いい。以前にもしたことだからね。そして、ドラマやああいった大作をするのもかなり心地よい。デンマーク人なので、僕の根っこの部分は、すべてが始まった場所であるデンマークのドラマで一番快適と感じるようになっている。けれど、それからは[comfortableと思う場所が]ずっと広がったんだ。

I: 確かに。あなたはいくつかの大作に出演していて、その中には『ローグ・ワン』があります。その作品では「悪いやつではない」半分悪役を演じられていたようですが、その役柄について何かお話いただけますか?

マッツ: 君の口封じをせず[without killing you]にどこまで言っていいのかよく分からないな。僕はその作品の中で誰かを演じてる。うん。ここまでは大丈夫だ。[笑。あのよくRTされてたあのシリーズの返しですね]

I: 進行中の撮り直しについて様々なことが話されています。あなたもそれに関わっていますか?

マッツ: 僕は1日。いつだったかは覚えてない。2週間以内だったと思う。

I: プレスの間ではかなり意見が入り乱れています。2つの見方で。あるソースはその作品に大きな変更が加わるだろうと主張していて、もう一方はそれはかなり最小限のものだろうと言っています。その作品に関わったことから、あなたはどう感じていますか?

マッツ: 基本的に、僕が経験した大作映画はすべて撮り直しをしたよ。それも予算の一部なんだ。彼らはあるシーンについてあまり納得してなかったり、僕たちの演技の仕方に納得していなかったり、あるいは彼らは何かを付け足したいのかもしれない。それは今に始まったことじゃないし、どの作品でも起きることだ。それ[撮り直しの規模]が大きなものかそうでないかは、僕は分からないよ。僕には比べようもない。それは同じ作品で、最後の仕上げをするためにただちょっとあちこちに付け足しているだけだ。それが僕の感じていることだよ。

I: 映画というものはいつでも撮り直しされているのは明らかなのに、この作品についてはあちこちで会話されているというのは興味深いですね。

マッツ: さらに興味深いのは、それで正しいゴールが達成されていて噂が巻き起こっているということだよ。(ディズニーは)それが好きなんだ。無料の広報がね。
[*噂が巻き起こって結果的に広報の役目を果たして、ディズニーの思惑通りになってるの面白い、という話のようです。]

I: 多分あなたが私に話せないであろうもう一つのプロジェクトは『ドクター・ストレンジ』です。まずは、これらの2つの濃い世界に浸っていかがでしたか?

マッツ: それは役柄が違うものだったからかなり違うものだったけど、どちらもファンの人たちはすごかったよ。でも『ドクター・ストレンジ』は僕が作った映画の中で一番大変で、僕は50歳で。僕が20歳だったならすぐにこなしたんだろうけど、残念ながら僕は50歳で、それ相応に色々あった[that’s the way it goesを意訳]。その瞬間瞬間も、いくつかの怪我も大好きだったよ。怪我はあちこちまだ痛んでる – けどそれもそのゲームのうちだと思う。[また”大好き/love”使ってる(*´Д`)マッツlove多用するのほんといい]

I: その役柄について何か私に教えられる詳細はありますか?私たちはトレーラーで暗い目のあなたを見ました。(注記: このインタビューは彼の役の名前が明らかになる前に行われたものです)

マッツ: もう少しだけ話せるよ。彼が悪いか善いかは君たち次第だ。彼はまた、より良い世界を信じている。彼の取る方法が、ただ、ドクター・ストレンジと違うだけで、そこで僕たちは問題と葛藤を抱える。でも彼は、良いリーダーなら誰でも望むように、より美しい場所を作ることを本当に望んでいるんだ。[マッツがカエシリウスのことを語るのほんといいよね(*´Д`)一番好き]

I: 私のようにあなたに話してもらおうとする人たちがいるのに、こういったことについて話すことができないのは難しいでしょうね。

マッツ: それはちょっと大変だよ。それは明らかに僕たち全員にとってとても興味深いことだからね。いつかは僕たちは自由に[喋れるように]なるんだ。まだその時じゃないだけなんだと思うよ。

I: 最後にお伺いしたいプロジェクトは、あんなに素晴らしかったのにキャンセルされたハンニバルです。シーズン4について何か進展はありましたか?

マッツ: 終わったところで終わってるよ。その物語自体が[元の作品から]飛び出したものだから、今から何年たっても好きなときに取り上げることができる稀な番組のひとつだ。それが起きるか起きないかは僕たちは知らない。それは全てBrian Fullerの手の内だ。僕たちは単純に彼なしではできない。彼はその番組の裏にいるブレイン[mastermind]であり天才なんだ。僕は、彼なしでは誰もそれができないと思ってる。もし彼がTV局を説得できたら、彼は俺ら全員[the whole gang]に戻ってくるよう説得できると思う。

I: ハンニバルは背後にあんなに熱狂的なファンコミュニティがあります。みんなNetflixかAmazonがその作品を取り上げてくれることを願っているのではと私は思うのですが。

マッツ: 普通は何かを3年間し続けたら戻ってきたいとは思わないけれど、実のところ、その番組では退屈な日は1日だってなかった。想像もしていなかった場所まで行っていた。

I: あぁ、どこかの段階で戻ってきてくれることを願ってます。

マッツ: 僕もだよ。

I: 私たちが話したプロジェクトは全て英語のものでした。あなたはデンマーク語で演じることの方がまだお好きなのかな、と私は推測しているのですが。

マッツ: それは難しい質問だな。デンマーク語は僕の言葉だから。僕は言葉について2回考えなくていい。でも、そういうと、僕は英語を話すときにも2回考えなくていい。僕は今でも英語の言語における自分のアイデンティティを探していて、一度それを身につけたら、そこから役を演じ始めることができる。英国かアメリカで過ごせば過ごすほど、僕はそこ[そのレベル]までいく。でもそこで誰かくそオーストラリア人に会って、訛りがまた変わってきだして、また振り出しに戻る(笑)。それが自分の第一言語でないときは、絶対に影響されるよ。僕は特にハンニバルの彼の非常に難しい言葉に自由を見つけて、僕はそれをかなり楽しんだ[この”自由”とはおそらく”周りの訛りに影響されない”という意味でのものかと]。それでもデンマーク語が僕の第一言語で、間違いなく一番理解しやすい言語だよ。
[中ほどの”くそオーストラリア人”ってローグワンのあの方としか思えません笑]

I: 今までにお話を伺ったプロジェクト以外に、何か将来に計画されているものはありますか?

マッツ: 特には。僕はコンセントを抜いて、太陽を楽しみだしたところだよ。僕は背中を倒して、読み物を始めて、何か僕の興味を引きつけるようなものがないか確認しようとしてる。[このインタビューの後に世界中を飛び回るマッツが目撃されたのでツッコミ入れたい]

I: あなたの人生の後半で、キャリアにこんな大きな盛り上がりがあるというのは興味深いです。あなたはこの流れを緩めたいと思いますか?それともこのまま続けていきたいですか?

マッツ: 僕は続けていきたいと思ってる。それは素敵で面白いことだし、今それが起きていることにはちゃんと理由があるから。僕は俳優業を始めるのが遅かった。僕が最初の演技をしたのは30の時で、アメリカで最初に演技をしたのは40の時だった。だから僕のキャリアではそれはかなり早く起きたことで、僕はそれが僕の人生の中で遅かったと文句を言うことはできない。僕はただちょっと遅かっただけなんだ。

I: 年齢を重ねてから俳優になった方達と、若いうちにそこに押し込まれた人達はかなり違って見えます。

マッツ: 僕はただ30歳のときに始めただけで、30になるまで興味がなかった。だからそれが自分にとっては良くて、完璧なタイミングだったんだ。

I: 30歳のときに何があったんですか?[何が鞭をふる(spur)ったんですか?を意訳]

マッツ: 僕は体操選手だった。そして – 奇妙な理由で – 僕は10年間ダンサーをしていた。そしてそれを通じて、俳優業への道を見つけたんだ。僕は美を追究するよりも踊ることの方が好きだった。だから僕は自分自身に「演劇学校に応募してみようか?」って聞いたんだ。それは決して小さい頃からの夢ではなかった。それは僕が引っかかったものでしかなかった。

I: 演技の文化はデンマークと外国で異なると思われますか?

マッツ: 世界中の俳優達と出会うと、みんな同じ人種だよ。僕は、僕たちがデンマークで持っていないスターシステムをハリウッドは持ってると思ってる。アメリカには非常に素晴らしいスターがいる、そして誰も知らない非常に良い俳優達もいる。僕たちはほんとうにそれは持ってない。僕たちには、あとになって”良かった”とか”そうでもなかったな”と分かる役者達がいて、彼らは僕らの小さな国の中で彼ら自身の言葉でいう”スター”になるだろう。僕たちはその”スターなんとか”は持ち合わせていないけど、演技に対する取り組み方は世界中でどこでもかなり同じだよ。


終わったー!長かった!