『Arctic』で共演したMariaさんの語るマッツ(2018/10)


『Arctic』でマッツと共演したアイスランドの女優、María Thelma Smáradóttirさんのインタビューでマッツの素敵な面に触れていらっしゃったので、ここに和訳を置いておきます。ネタバレなしです。


カンヌにて、Joe Penna監督、マリアさん、マッツ。
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(とても今更ですがgettyimagesなら営利目的でないblogに画像を埋め込めると知りまして。埋め込みまくりますヾ(*´∀`*)ノアフィリエイトしてなくてよかった!)

いつものように和訳は直訳気味、[ ]は私の補足、()は元記事にある補足、固有名詞の翻訳は適当(すみません)です。この和訳で知った情報を使う場合は必ずソースを明記してください。(2019/11/8追記: 2019/11/7頃にメディアに掲載されている同様の記事は私の了解のもとソース明記なしで編集・掲載していただいています)


Source: Close-up Culture [例の雪だるまの写真があります]

クローズアップ: María Thelma Smáradóttirさんインタビュー

アイスランドの俳優であるMaría Thelma SmáradóttirはJoe Pennaのサバイバル・スリラー作品である『Arctic』に登場するたった2人の登場人物のうちの1人を演じる。

MariaはClose-up Culture[サイト名]のJames Prestridgeに、身も凍える寒い環境で働くこと、マッツ・ミケルセンについて、自己懐疑、など様々なことを語った。

Q: 『Arctic』はあなたの初めての映画作品です。この作品で、監督業が初めてのJoe Pennaと仕事をする機会はどのように訪れたのでしょうか?

A: その機会が訪れたことについて何かロマンチックな話ができたら良かったんだけど、その過程はかなりベーシックだったと思います。彼らはアジアのバックグラウンド[生まれ/育ち]のある女優をアイスランドで探していたので、私に声がかかった。プロデューサー達は私に脚本を送って、私はそれをかなり気に入って。そして私は、面接とオーディションのためにJoeとRyan Morrison(脚本家)に出会って、あとはご存知の通り。

Q: 多くを語りすぎることなく、あなたの役と、その役が映画の中でどんな役割を果たすのかについて何か教えていただけますか?

A: うーーん…難しいな。えっと、私たちはその役に、あなたたちが映画で見るような典型的な「役」としてはアプローチしなかった。彼女たちは、ただの背景の違う2人の人間であって、彼女らは生き延びようとしている。彼女らはコミュニケートしようとするけど、彼女らは同じ言語を喋らない、それって本当に面白くて。だってそれが私たちに疑問を投げかけるから。「何が人間として私たちを結びつけているのだろう?」って。

Q: マッツ・ミケルセンは、この作品が今までに作った映画の中で最も困難な作品だったと言いました。あなたにとってはどういった経験でしたか?何かシェアできる話はありますか?

A: それは色んなレベルで非常にタフなものでした。ロケ地はかなり孤立していて、天気は予測不可能、だからスケジュール通りに進めていくのはかなり難しかった。私は文句は言わないようにしてた。だって少なくとも私はシーンの合間に小さなトレーラーの中にいるチャンスがあったけど、一方でマッツは過酷な寒さのなか、毎日、一日中外にいないといけなかったから。
マッツが私に、これは今まで作った映画の中で一番困難な作品だと言ったときのことを、とてもはっきり覚えてる。私たちはとても厳しい日を過ごして、そしてセットから家へと車で帰っているところだった。私は前の席に座っていて、彼は後部座席にいた。私たちは長い一日を過ごして、どちらもかなり感情的に[感情的な面で]くたくたになっていて。彼は私にこう言った。「これは多分僕が今まで作った映画の中で一番困難な作品だと思う」と。私はゆっくり彼に振り返ってこう言った。「これ私の最初の映画なんだけど」。彼はにやーとした笑みで私を見てこう答えた。「いいね。このプロジェクトの後にはきっとタフ[thick skin]になってるよ」と。ほんとうにその通りだった!

[写真キャプション] マッツとマリアがロケ地で雪だるまを作る

Q: マッツは息を呑むような演技をして、来たるEvolutionマヨルカ国際映画祭[EMIFF]で受賞する予定です。マッツと仕事をするのはいかがでしたか?特に、彼がそういった大きな制約[strain]下にあるときだと。

A: とてもいい質問。えぇと、忍耐強さは必須だった。私たち2人とも、これから起こることに対して何も準備していなかったと思う。さっき私が言ったように、ロケ地はかなり孤立していて、ときにはその寒さは私たちを吞み込んでしまいそうな[激しい]ものだった。何よりも、彼は大きな幅の[多様な]感情を演じ、旅していかなければならなかった。だから彼はたくさんのプレッシャーの中にいた。物理的にも感情的にも。
そういった環境下では、私たちが経験していってることから隠れたり逃げたりできる場所なんて何もなかった。私たちは互いの理解を育んで、お互い完全に生身でいれるような信頼できる環境を作り上げたと思う。私は一番最初から、できる限り協力的であろうと考えていた。
マッツはほんとうに自己中心的でない[unselfish]俳優で、それが彼をあんなに偉大にしている。例えば、私たちはあるとてもエモーショナルなシーンを撮り直さないといけなくて。そのシーンには私たち2人がいたけど、[撮り直しでは]ただ彼の顔のクローズアップだけが必要だった。彼は、彼だけで撮り直すのではなくて(彼なら簡単にやってのけたはずだけど)、私に手伝ってくれないかってお願いしてきた。私はそのシーンには映らないんだけどね。私はそれってとても敬意を払ってくれてることだと思った。そのことから、彼は大きな成功を収めているにも関わらず、彼自身が誰かよりも上だなんて考えてないんだと分かった。

Q: [監督の]Joeは、その作品は本来は宇宙を舞台としていたけれど、Ridley Scottの『The Martian』を見たときに気持ちが変わったと言っていたと思います。SF冒険に登場できなくてがっかりしましたか?

A: (笑)いいえ、全然。北極になることでより身近な話になったと思う。

Q: 先ほど私は、この映画はJoeがYouTubeでの音楽の過去を抜け出して作った最初の作品だと言いました。Joeと仕事をするのはいかがでしたか?彼のバックグラウンドが何か違うものをもたらしていると感じられましたか?

A: Joeと仕事をするのは素晴らしいことだった。彼は心が広くて接しやすくて。それってほんとうに大事なこと。私はどの監督も作品に何かしら特別なものをもたらすものだと思ってる。彼は、彼が何をしたいかについてほんとうにクリアなヴィジョンを持っていて、だから彼の未来はとても明るい[と思う]!

Q: 私はちょうどカンヌの『Arctic』のレッドカーペットを見直したところです。それはあなたにとってどのくらい特別な出来事であり、また経験だったでしょうか?

A: とても特別でした。私はカンヌにアイスランドのクルー達がいるのを見て、信じられないくらい誇りに思っていた。彼らなしには私たちは作り上げることはできなかった。

Q: カンヌの頃、あなたはインスタグラムに、あなたが経験した「閉まっていたドアと妨げ」を乗り越えて勝つことについて投稿されました。あなたが乗り越えないとならなかった経験やハードルについて何か話していただけますか?

A: もちろん。えぇと、無数のオーディションと数え切れないNoのあと、自己疑念が湧いてきはじめたんです。それ[受からない理由]って自分の見た目に関連する何かだろうか、心の痛みに関する何かだろうか[落ち続けることの悲しみが影響しているのではないか]、才能か、それとも、と。
白人が主な社会(アイスランド)で混血のバックグラウンド(私の母はタイ人なの)で育った私には、そう多くのロールモデルがいなかった。アイスランドには明らかな異国のバックグラウンドを持っている俳優はいなかったから、私は自分にはチャンスがないんだと思っていた。悲しいけど、私はほんとうに、自分の混血のバックグラウンドが自分にとっての問題なのではと考えていた。でも、私は完全に間違っていた。成長して、自分の特徴を違った視点から見始めるようになってから、自分に有利な場でうまくいくようになってきた。「この役、自分のバックグラウンドのせいで絶対取れないだろうな」と考える代わりに、こう考え出すようになった。「この役、自分のバックグラウンドのおかげできっと取れるだろう」って。
つまり、アイスランドで唯一のアジアのバックグラウンドを持つ俳優であることが、実際に北極に私を導いた。なんてすごい確率、でしょ?人はほんとうにレジリエンス[しなやかさ・打たれ強さ]の感覚を磨く必要があって、自分自身への信頼を、自分の不安や恐れよりも大きくしないといけない。これを読んでる人たちへ、きっと大丈夫よ。世界はあなたの味方。

Q: あなたはIceland Academy of Artsで学び、TVシリーズ『Prisoners』で主演を務め、最近では短編映画『Miss Iceland』で主役を演じられました。他にあなたのバックグラウンドについて何かお教えいただけますか?何があなたを俳優の道に導いたのでしょうか?

A: 私の演技への興味は高校時代に始まりました。私はとてもシャイだったんだけど、演技のクラスに参加するようになって。それがほんとうに自分を自分の殻から引っ張り出して、それからはもう振り返らなかった。

Q: あなたの将来の抱負や希望は何でしょうか?

A: 私の夢は映画とテレビ番組で役を取り続けること。あるホテルから次のホテルへと移動しながら世界中を旅したいな。

Q: 何か、言うことができる新しいプロジェクトはあるでしょうか?

A: 色々進んでいることはあるんだけど、今はまだお教えできることはないです。でもきっと近いうちに!


マッツの仕事への献身っぷりと、映画出演は初めてのMariaさんに対等な共演者として向き合っているところとか、いかにもマッツらしい素敵なエピソードです。また、何かに挑戦して何度も失敗したことがある人にはマリアさんご自身の話もとても身近に感じられるかと思います。

先日Twitter紹介した(下記)HoneySuckle誌の和訳でも書いたのですが、マッツはほんとうに極寒の地の中ずっと外にいて撮影していたそうで、そりゃ激痩せするしHanneさんもJoeさんにちょっと言いたくなりますよね[こちらのLA Timesの部分]。。胸がキュッとします。

こちら↓でもまた別の『Arctic』撮影時のマッツの様子が語られていてグッとくるので、、ぜひ購入して和訳読んでください。確か500円だったと思います。AndroidのかたはZINIOというアプリから買えるそうです。

この作品『Arctic(原題)』はキノフィルムズ様から2019年に公開予定です。ハッピーエンドの気配がしないですし、リアルでのマッツの献身っぷりにも心が打たれるので、ファンの方はきっとハンカチ必須な気がします。うぅ。楽しみです!

その他カンヌでの写真。1つのスライドショーには5枚まで。。時間ないのでひとまずお気に入りのものだけ置いておきます。
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