マッツの俳優デビューはお兄ちゃんと一緒(The Times; July 2016)


またマッツのインタビューが載った過去記事を手に入れたので和訳を載せます。今回は2016/7のもの。お兄さんのLarsさんとの話が少しあっていいです(*´ω`*)

 
今度こそWeb上には落ちてないはず…!と調べたらまた自分で見つけましたorz 買う前に調べたんですが甘かった様子。

和訳は直訳気味、[ ]は私の補足、()は元記事にある括弧、固有名詞の和訳は適当です。この翻訳で知った内容を使う場合は必ずソースを明記してください。


Source: The Times [全文読むには無料の会員登録が必要]

「50歳で魔術にカンフー、それは悪くない」
ボンドのかつての悪役であり「デンマークで最もセクシーな男」である俳優のマッツ・ミケルセンは、『ドクター・ストレンジ』にて魔術師に姿を変える

[写真キャプション]『Men & Chicken』では、ミケルセン(鶏とともにいる)は口唇裂、義鼻、そして脂ぎった巻き毛を与えられた。

マッツ・ミケルセンは、ウィンザーで彼が滞在しているアパートで僕と会う予定を立てていたが、でも大通りに面したこの薄汚れた玄関口はその場所としてありえなかった。これはデンマークの代表的な俳優なんだよ!魅力的な[lip-smacking]悪役(アメリカのTVシリーズ『ハンニバル』のハンニバル・レクター、『カジノ・ロワイヤル』の邪悪な銀行家であるル・シッフル)を作り上げた者[creator]であり、2012年のカンヌで『偽りなき者』にて男優賞の勝者である彼は、近々2つの巨大予算の大作映画であるMarvelの『ドクター・ストレンジ』と『スターウォーズ: ローグ・ワン』に出演する予定である。確実に[彼には]煌びやかな住居があるべきだ。僕が呼び鈴を押そうとしていたとき、ドアが開いてミケルセンが大股で出てきた。彼の服装はその住処と同じくらい特徴のないものだった: ジャージ、トレーナー[複数]、ウールの帽子、そこからは灰色になっている髪の毛が飛び出している。スター性を明確に示す唯一のものはその頬骨だけだった。

これは目立たないことに飢えている男だ。彼はここでよく気付かれるのだろうか?「もし僕が動くのをやめたらね」と彼は微笑みながら言う。だから僕たちは早足で角を曲がって、人のいないCafé Rougeへ向かった。ミケルセンは『ドクター・ストレンジ』のセットの近くにいるために、ここ数ヶ月間ウィンザーに住んでいる。その作品で彼は、魔術師でありベネディクト・カンバーバッチの演じるタイトルの名のスーパーヒーローの主要な敵役を演じる。「それはまったく本当に”十代の少年の夢が叶う”というものの一つだ」と彼は流暢で、少し舌ったらずの英語で言う。「50歳で魔術と飛び回るカンフー、それはそんなに悪くない」。

そこにはたくさんのワイヤーワークとブルースクリーンがあるが、彼はそれが大好きで、デジタルな架空のものの芸術性を『Clash of the Titans (2010)』の共演者の1人から学んだという。「僕たちはそこにいない何か巨大な蠍たちを攻撃する6人のギリシャの戦士だったけれど、幸運なことに僕らには Sam Worthingtonがいた。彼は2年半『Avatar』をしており、彼はテニスボールをチャージしながら”アー!”と言う感じだったんだ」。

ミケルセンはまた『ローグ・ワン』の制作中でもある。その作品は最初の『スター・ウォーズ』映画の出来事の前を舞台としており、デス・スターの計画を盗み出す反逆軍のスパイたちを追う。詳細情報はまばらにしかなく、彼は機密保持契約に縛られてているが、彼はFelicity Jonesが演じる主役の父親として配役されている。彼は羨ましいほどにファンの少年の全ての物事についてのヒステリーから自由である。丁度、彼が『カジノ・ロワイヤル』をしたときにボンド映画を1つも見ていなかったように、『ローグ・ワン』についてはスターウォーズのバージン[童貞]だった。彼がどの映画も見たことがないことにプロデューサーたちは驚かなかっただろうか?「彼らには言ってないよ!」。

最も新しい映画である『The Force Awakens』を見てから、彼は「ちょっと道に迷った」感じがしたと打ち明けた。「その映画は大好きだけど、それはほとんど”それ自身の映画”になってなくて、”参照の参照の参照”になっていた」。『ローグ・ワン』も似ている?「いいや、ありえない。だってそれは他の映画すべてより前の時点に設定されているから」。それは宇宙のベトナムだと表現されています。謎めいた笑みで「僕にはいいことに聞こえるな」。

彼の演技は、その濃さと卒のない多様性で特徴付けられる。YouTubeには役のために8ヶ国語を話す彼についてのクリップがある: 英語、デンマーク語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語、スウェーデン語、ロシア語。彼の次にリリースされる映画である『Men & Chicken』は『スターウォーズ』からこれ以上はないほどにかけ離れている。デンマークの脚本家兼監督であるAnders Thomas Jensenによるダークでねじ曲がったコメディーであるその作品は、デンマークの地方にいる5人の暴力的な兄弟たちが、彼らのグロテスクな出自を見つけようとする話である。ヒント: 彼らは完全に人間というわけではない。

「ギアシフトが大事なんだ」と彼は言う。オレンジジュースを飲みながら。「でもそれは逆の方向にもまた行くものなんだ。もし君が母国で2つのディープなドラマをやったら、君はこう言いたくなる: “剣をくれよ、空中を飛ばせてくれ”って」。

『Men & Chicken』はオスカーを獲得したJensenと作ったいくつかの作品の中の一つである。Jensenは過去に彼を滑稽なひだ襟の司祭(『Adam’s Apples』)や、非常に後退した生え際の肉屋(『The Green Butchers』)として取り上げた。今回はミケルセンは口唇裂、義鼻、そして脂ぎった巻き毛になっている。それはほとんどまるで、デンマークで最もセクシーな男に何度か投票された俳優の見た目を損なわせることをJensenが楽しんでいるかのようだ。「Andersはその噂[“セクシーな男”のことの様子]を潰すのに大きな役割を果たしてるよ」と彼は言う。「僕は彼の映画ではいつだってちょっと変な見た目になってる」。

デンマークでの公開では、『Men & Chicken』は老人、鶏、さらには口唇裂の人々を代表するグループから激怒を買った。ミケルセンはその反応に困惑した。「もしその作品を10年前に作っていたなら僕たちはなんの苦情も得なかっただろう。でも僕たちはマイノリティー団体から攻撃された」と彼は言う。「それはまったく正気ではないことだ」。僕は”狂ってしまった政治的な正しさ”がデンマーク語では何と言うのかよく知らないけれど、彼は明らかにそれを把握しつつある。

彼がメディアの攻撃に間接的に関わったのはこれが初めてではない。昨年、彼はリアーナの『Bitch Better Have My Money』の物議を醸した動画に出演し、その歌手の不誠実な会計士を演じた。その動画は数名のコメンテーターに批判された。曰く、リアーナと彼女の道具を装備した友人たちが暴力的なリベンジをミケルセンの役ではなくモデルのRachel Robertsが演じる妻に浴びせるのに多くの時間を使っていたからと。彼は言葉を失ったように見えた。「なんてことだ。そいつらは全部のPCについても同じことしたのか?そいつらはそのエネルギーを、動画の中で何もしていない裸の女の子たち全員にも注ぐべきではないのか?僕はそれを真面目に受け止めることはできないよ。そこかしこにマイノリティグループがいて、こう言うんだ。”なんてこと、なんで私がその映画に出ていないの?なんてこと、なんで私がその映画に出ているの?”って」。

もしこれで彼がちょっと北欧のRichard Littlejohn[右翼の著者]のように聞こえるなら、彼はまったくそうではない。彼の心はリベラルなヨーロッパの俳優以上のもので、近年はカンヌにて審査員を務め、フランス政府から”Chevalier de l’Ordre des Arts et des Lettres”に叙されている。

ミケルセンはコペンハーゲンで生まれ育ち、今もそこに住んでいる。彼は振付師であるHanne Jacobsenと結婚しており、23歳のViolaと18歳のCarlという二人の子供がいる。彼の母親は看護師で、父親は銀行員、兄であるLarsはまた俳優であり、『The Killing』での政治家Troels Hartmann、『House of Cards』でロシアの大統領を演じたことでよく知られている。そこで育ったマッツは「僕たちは俳優になる可能性について話し合ったことは一度もない」と言う。しかし彼らは映画を一緒にみるのが大好きで、モンティ・パイソンのコントを覚えることで英語を練習した。

体操選手とダンサーとしてトレーニングをしたのち、彼はLarsを追って演劇学校に行き、兄と一緒のステージでデビューした。そのプロダクションは、彼はその名前は忘れたと主張するけど、「まったくのクソだった。それはある島で行われて、僕たちは後で観客と一緒にボートに乗って帰らないといけなかった。だから僕たちは恥ずかしい思いで歩かない[*]といけなかったしボートの前の部分に隠れないといけなかった。僕たちは2ヶ月間公演するとされていたけど、5日間しかもたなかった」。

[写真キャプション] 『カジノ・ロワイヤル(2006)』での邪悪な銀行家であるル・シッフルとしてのミケルセン

Larsは劇場[演劇]に残ったが、マッツは映画へと移り、1996年にNicolas Winding Refn監督(Drive)の『Pusher』でドラッグ・ディーラーとして名を上げた。彼は、その勇敢な現代的な映画は「大きなことだった。僕にとってだけでなく、母国で僕たちが映画を作るやり方にとって」という。それまでは、デンマークの映画は時代物に支配されていた。

それ以後、彼は母国で多様な主役を演じてきた。Winding Refnの『Valhalla Rising』での北欧の戦士、『A Royal Affair』でのデンマーク女王を誘惑する医者、『偽りなき者』での小児性愛と誤って告発される男。ハリウッドでは、多くの北欧の俳優のように、彼はだいたい悪役と脇役に限定されていた。彼の『カジノ・ロワイヤル』での役は、「母国でyesと言うであろうものよりは小さい役だったけど、母国の外で手にすることを夢見たどの役よりも大きなものだった」と彼は言う。

2010年には、Winding Refnはこう言った。「もし他の誰も彼にハリウッド映画の主役を与えないのなら、僕がする」と言った。それはまだ起きていない。Alicia Vikanderの進歩とはコントラストがある。『A Royal Affair』でミケルセンが共演した27歳の彼女は、既にアメリカの映画でいくつかの主役を演じオスカーを獲得した。ヨーロッパの女性たちにとっては、ハリウッドにジャンプすることはより簡単なのか?彼は頭を振った。「それは彼女がとても才能に溢れていて、カメラが彼女を愛し、彼女がその訛りで前にも後ろにも[国内にも国外にも]ジャンプできるからだよ」。

ハリウッドの主役の役が彼をすり抜けた一方で、ミケルセンはアメリカの大手TVシリーズで主役を演じるという、デンマーク人にとって稀であることを、NBCの『ハンニバル』に配役された際に成し遂げた。彼の強い訛りがAnthony Hopkinの熟考された声音からかけ離れすぎているのではと心配する人もいたが、ミケルセンの抗弁は、レクターは本によるとリトアニア出身だというものだった。

NBCの信念は、気味が悪くカリスマがあり、高く評価された演技で報われて、その演技はミケルセンの娘に「ナイフを持って彼女を追いかける僕の」悪夢を見させることになった。仕事は終わった。ホプキンスは「足を踏み入れるための、ある素敵な大きな靴を」残してくれたという。「でも幸運なことに僕たちは違う靴を履いている。僕はそれを後悔したことは一度もない。それは僕の最高の仕事の一部だ」とミケルセンは言う。そしてこう付け加えた。それは物事が、アメリカにいる非アメリカ人俳優にとって「ほんの少しだけ開かれつつある」ことの印だと。おそらく次のアパートはもっと煌びやかなものになるだろう。


[*]ここ”walk of shame”は朝帰りという意味でよく使われるのですが、文脈上は多分違うのでこう訳しています。

 
今回はなんだか細かないい情報が色々ありますね。劇場デビューしたときLarsさんも同じ舞台にいたとか、英語はモンティパイソンで覚えたとか(公式サイトこちら)、見つからないように早足で移動するとか。普段着で家でインタビュー受けようとしてたマッツとか「彼らには言ってないんだ!」って嬉しそうなマッツとか姿が思い浮かぶようです(*´Д`)

 

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あとオレンジジュース飲んでるのも可愛いし。