マッツ電話インタビュー『Arctic』や『Polar』などについて(March 2018; THE HINDU)


マッツの最新インタビュー来たのでカールスバーグ飲みながら和訳します。Skål!

今回のインタビューは、THE HINDUというインドの新聞社さんの記事です。
いつものように和訳は直訳気味、固有名詞の和訳は適当、[ ]は私の補足、()はもと記事にあった補足、この和訳で知った情報を使う場合は必ずソースを明記してください。


Source: http://www.thehindu.com/entertainment/movies/mads-mikkelsen-polar-opposites/article23391807.ece

マッツ・ミケルセン: ハンニバルが北極へ向かう [映画ArcticとPolarに掛けたタイトル]

善と悪を簡単に切り替えながら、そのデンマークの俳優はアクション満載のNetflix映画で主役を務め、北極の寒さに立ち向かい、ハリウッドにもっと多くの悪役が出ることを待ち望んでいる。

善と悪に共通することはなんだろうか?もし誰かが映画的な意味で答えるのであれば、それは「マッツ・ミケルセン」になるだろう。2つの異なる大陸、異なる言語、異なる映画業界によって分かたれた、聖人と悪人の役のあいだに、そのデンマークの俳優はhyggeを見出した[“米国とデンマークで演じる役柄が違うがそこが心地いい”という意味合い]。北欧から頭角を表した最も有名な俳優の一人と言えるであろう彼は、Marvel作品である『ドクター・ストレンジ』のカエシリウス、ジェームス・ボンド作品である『カジノ・ロワイヤル』のル・シッフル、そしてもちろんヒットしたTV番組である『ハンニバル』のハンニバル・レクター博士といった悪役を演じたことで国際的に知られている。

しかしながら、もしハリウッドでのミケルセンの仕事を知らずデンマークの作品、例えば『偽りなき者(Jagten, 2012)』を見ている人がいたなら、彼のつぶらな瞳[beady eyes]と寂しげな見た目[dejected looks]を悪と結びつけるのは困難であろう。そのThomas Vinterbergの映画では、彼は、ある小さな村で子供を性的虐待したと誤って訴えられ、魔女狩りの中心となった哀れな学校教師を演じている。善と悪の間でスイッチを返すことは、そのベテランにとって困難なことではない。結局のところ、それらが同じコインの両面だと彼は信じているのだ。「それは自然の一部だよ。僕たちが神を発明した5分後に、僕たちは悪魔を発明したんだ」と彼はトロントからの電話越しに言った。彼はそこで次の作品『Polar』を撮影している。

両方の世界の最高のもの

ハリウッドは、ミケルセンを敵対役として喜び重宝してきた。リアーナの『Bitch Better Have My Money』のミュージックビデオで、タイトルの役[“bitch”]を彼が演じるほどにまで。しかし彼が今まで演じて来たすべての悪役の中でも、『ハンニバル』における人喰いレクター博士の複雑に重なり合った陰影[grey shades*後日追記]が、彼の興味を最も強く掻き立てた。「僕たちはいつも、死に関わっている人たちに魅了されるが、ある程度の共感も持つようだ」と彼は観察している。その俳優は、悪役はただの”ヒーローの敵”だけではいられないと信じている。彼らは彼らにとって3次元でなければならない。映画とは異なり、テレビは時間をかけて役を膨らませるゆっくりしたペースを提供でき、それによって彼はその役の個性にいくつかの層を付け足すことができるようになる。「ハンニバルでは、たくさんの焦らし[teasing]もあった」と彼は言う。「僕たちは僕たちの馬たちを引き留め、悪が爆発するのを待つことができて、全てを一度に出す必要がなかった」。

祖国デンマークでは、彼は、アカデミー賞でBest Foreign Language Filmにノミネートされた『After the Wedding (2006)』や『ロイヤル・アフェア(2012)』のようないくつかの評価の高い映画で仕事をしている。ということは、彼はデンマーク映画での彼の役の方がよりクリエイティビティの面で満足がいくものと考えているだろうか?「いいや。僕はそうは言わない」と彼は即答した。「もしそうだったなら、僕はずっと祖国に留まっていたよ」。

一方で、ミケルセンはその2つの世界の最も良いところを得ようとしている。ハリウッドは『Rogue One: A Star Wars Story』のような人生よりも大きな映画作品の一部となるチャンスを彼に与える一方で、デンマークの映画は繊細な個性[nuanced characterisation]を彼に与えている。「ハリウッド映画にはもちろん興味深いものがある」と彼は言う。「まず、僕たちが[デンマークで]決まった予算内では作るチャンスがないような作品を、彼らは作る。その世界にいるということは、とても魅力的でクリエイティブなことだと僕は思う」。そこでの大盤振る舞いとは反対に、デンマークは個々の物語、彼が言うところの「キッチン・シンクのドラマ」により注目していると彼は見ている。「僕はそれにもとてもアットホームな気持ちを感じるんだ」と教えてくれた。「だからそれは何かvs何かというものではなくて、僕は両方できることにとても幸せで幸運だと感じているんだ」。

映画祭での人気 [Festival favourite]

文学だろうが映画だろうがテレビだろうが、北欧のノワールはいつもインドや他の国際的な市場において厚い人気を持っている。また、犯罪ドラマやスリラーを超えた北欧映画にも関心が高まってきている。ミケルセンはそのトレンドが次の2つの要因によるものだという: インターネットでインディー作品へのアクセスが増加したことと、アメリカがスピンオフに執着していること。「彼らは北欧ドラマや北欧ノワールをベースにしたリメイクをたくさんやっている」と彼は言う。「それはずっとアメリカ映画の歴史であり続けた。彼らは、大好きな80年代のフランスに何かを見つけたら、それをリメイクするんだ」と彼は小さく笑った。

デンマークの旗を高く掲げ、その俳優はいくつかの国際的な映画祭、特にカンヌで、存在感を示してきた。彼の作品である『Age of Uprising: The Legend of Michael Kohlhaas (2013)』と『偽りなき者 (2012) 』はパルム・ドール賞を争い、後者はその映画祭で男優賞を獲得した。彼はまた2016年にその賞の審判員も務めた。

万事問題なく進めば、その俳優の次の作品、Joe Pennaの『Arctic』が彼をそのFrench Riviera[カンヌの行われる場所]に連れ戻してくれるかもしれない。「それは映画祭の作品になるポテンシャルは絶対にある」と彼は教えてくれた。「そして、うまくいけば、カンヌに(出るだろう)」と付け加えた。『Arctic』は、飛行機墜落後に取り残され、救助を待つ一人の男のサバイバルの物語だ。救助の最後のチャンスを逃したあと、彼はそのまま留まるか、文明[的な生活]に戻る過酷な道に乗り出すかを決断する状況に取り残される。ミケルセンはその映画を、独特でラジカルな[先鋭的な]ドラマだと述べる。「それはサバイバル映画だ。でも他の作品ほど古典的なものではなくて、おそらくもう少し現実的なもの」と彼は明かした。

取り残された者を演じることは、孤独で骨の折れる経験となりうる。北極のような容赦のない地においては特に。その役は確実に厳しい[demanding]ものだが、典型的なハリウッドの悪役として、一連のアクションは彼にとって馴染みのないものではない(ドクター・ストレンジでの一連の武術を覚えてます?)。だが『Arctic』は最も肉体的に追い込まれたものとして今日まで他の追随を許さないものだろうか?「そう思ってた。今ここでやっていることをしだすまではね」と彼は笑い、次のNetflixの作品である『Polar』に言及した。

年齢がただの数字であるとき

スウェーデン人の映画監督Jonas Åkerlundが指揮する『Polar』は、Victor Santosによるグラフィック・ノベル『Polar: Came With the Cold』の実写版であり、ミケルセンは「世界最高の暗殺者」を演じる。言うまでもなく、その作品には背骨が折れるような一連のアクションが含まれている。「年を取れば取るほど、こういった映画はどんどん大変になってくる」とこの52歳の俳優は言う。「こういったいくつかの作品は、僕が25歳だったときならもっと簡単にできたと心底思う。でもその作品には僕の年齢の男が必要で、だからこういうことになっているわけだ」。

肉体的に負荷のある映画を2つ立て続けに撮ったいま、彼は『偽りなき者』のような一見楽そうな作品をすることに惹かれるだろうか?「それらはどれも同等に疲れるものだよ。というのも、それは感情的なジェットコースターで、何か肉体的なことをするのとまったく同じくらい大変だから」と彼は言う。「それを言うと、『Polar』や『Arctic』のような映画もまた、その道[“感情的なジェットコースター”]を進んでいくのにためらいはない — それは肉体的なだけでない。それは感情的でもあるんだ」

彼の人生を振り返ると、ミケルセンのポートフォリオはかなり多様だが、それは彼の俳優のキャリアでしかない。若かりし頃は、彼は体操選手として訓練し、その後ダンサーになった。演劇学校に通ったのち、彼は30代でプロとして俳優の道を選んだ。10年後、彼が40代の時にハリウッドが彼のドアをノックしにやってきた。50代を歩み始めた今、彼の袖の中に新しいトリックは何かあるのだろうか?「うーん、僕は、したいことについて目標を絞った計画を持ったことがないんだよね」と言う。「物事はただ起きるだけで、今は、僕はアメリカのアクション映画(『Polar』)で仕事をしていて、そこでは、一度、主役を演じている」と誇りを感じる声で言った。おそらく、それが俳優としての彼の前にある道だろうか?「僕はただ、人生が僕を連れて行く所に連れて行かれるようにしている」と言う。「もし何か面白いことが出てきたら、僕はそれに飛び乗る」と付け加えた。もしそうでなければ、素敵な長い北欧の休暇を取る予定だ。


ハンニバルの話(過去形とはいえ)してるしSVCCもハンニバルをタイトルにあげたパネルするみたいだし、もしかして何か来る…??

個人的にはArcticはカンヌで8.5割方決定じゃないかなと思います。スケジュールも空いてそうだし。Joeさんの呟きの雰囲気とかで。4月頭のDLCメーリングリストに何か情報来るかも…?

スケジュールで思い出しましたが、Googleカレンダー逐次追記していってるのでたまに見てみてくださいね。こそっと書いてることもあります。

インドの英語読んだの初めてなのですが(聞いたことはある)英国英語に通じる部分が多かったです。歴史を考えれば当たり前ですが。分詞構文の多用と、同じ単語の繰り返しを避ける(「…と彼は言った」の「言った」の単語が毎回違う)のが執拗すぎるほどで、ちょっと面食らいました。全体の文の構成もかなり緻密ですごいなぁと思うものの、一方でゆったりとした流れを感じることはできず。。focusedをfocussedと綴っているの久しぶりに見た気がする。UK英語でもあまり見た記憶ない。favouriteは通常運転。

 

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