カンヌでジョニーと会ったマッツ(2023/5)


Vanity Fairさんのインタビューが素敵だったので久しぶりに和訳しました。

『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』でマッツがグリンデルバルドを演じて以来、初めてジョニー・デップと会話をしたと思われる2023年のカンヌについてのインタビューです。

『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』についての話もあります。ネタバレというほどのものはないですが、わずかな情報でも事前に知りたくない方は「★ここから★」「★ここまで★」は読まない方がいいかもです。


いつものように、和訳は直訳気味です。下記の和訳をどのような形でも使用する場合はソース(この記事へのリンク)を明記してください。()は記事にあった補足、[ ]は私の補足です。


Source: https://www.vanityfair.com/hollywood/2023/05/mads-mikkelsen-on-his-indiana-jones-de-aging-interview

インディ・ジョーンズでの若返りについてマッツ・ミケルセン:「プラスチックの匂いを感じる」

『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』のgalaプレミアのレッドカーペットにて、マッツ・ミケルセンは自宅にいるかのようであったが、彼はカンヌの常連なので驚くべきことではない。しかし、ハリソン・フォードやフィービー・ウォラー=ブリッジのような他のキャストを誘導するような立場だからといって、彼はそれ[カンヌ]に圧倒されなかったということはない。「撮影のため立っていて、(カメラマン達が)叫び続ける、それはただただ狂気じみている」と彼は私に言った。「それがただ恥ずかしいという気持ちも一部ある」。

ミケルセンは、2020年の『アナザー・ラウンド』や2014年の『悪党に粛清を』、2013年の『バトル・オブ・ライジング コールハースの戦い』、2012年の『カジノ・ロワイヤル』のような映画とともにカンヌに何度も登場した。2016年には審査員を務め、2012年にはトーマス・ヴィンターベア監督の『偽りなき者』にて主演男優賞を獲得した。

それほどであっても『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』は特別なものであるという。「みんなインディ・ジョーンズが大好きで、それには理由がある」と。「その作品の魅力、映画制作のスキル、ハリソン自身、その音楽。すべてが魅力なんだ。まさに全部の詰め合わせ」。

彼の悪役を演じる特別な能力をもってしても(彼はジェームズボンドでも、スターウォーズでも、ハリー・ポッターでも悪役を演じた)、インディ・ジョーンズ作品で悪役(フォラーという天才のナチの科学者)を演じるのは「死ぬまでにしたいことリスト」の大きな項目だった。

Vanity Fairは、そのジェームズ・マンゴールド監督作品のカンヌプレミアの翌日にミケルセン氏とお会いし、彼がどのように悪役を作り上げるのか、[ハリソン]フォードとの共演がどうだったか、[カンヌの]オープニングにて[ジョニー]デップと出会した際にどのような言葉を交わしたのか、について伺った。


Vanity Fair [以下VF]: あなたはインディ・ジョーンズのファンとして育ちましたか?

マッツ:インディと共に育ったよ。僕はたったの15歳で、映画のボックスをレンタルして、全部を兄と一緒に観た。僕たちは『インディ・ジョーンズ/レイダース 失われたアーク《聖櫃》』を10回は見た。僕たちを夢中にさせるものがあったんだ。僕たちはそれまでそんな作品を見たことがなかった。僕はブルース・リーのような他のもののファンではあったけど、映画としては、その作品は世界の外にあるような[度肝を抜く]ものだった。僕たちはその映画の中にいたかった。アーティファクトを見つけたかった。その作品はすごく大きなインパクトがあった。

VF: このプロジェクトは、最初はどのように連絡が来たのでしょうか?

マッツ:それは面白い話で、ちょうど1週間前に、僕の友達の一人が、僕が悪役として登場したフランチャイズ作品のリストを作っていたんだ。彼は「すげぇ」という感じだった。僕はこれに出ていて、これにも出ていて、これにも出ていた。僕はデンマーク人だから、[米英のフランチャイズ作品に頻出する]意味が分からない。なんだこれ?なんでこんなことが起きるのか?と。そして彼は「じゃぁ、今しなきゃいけないことはインディ・ジョーンズだね」と言って笑った。そしてその1週間後にその電話が来て。だから彼にそれを伝えるのが待ちきれなかったよ。

VF: あなたの友人は超能力者みたいですね。

マッツ:本当に面白かった。僕は確かに脚本を読みはしたんだけど、最初の直感で、僕は「あぁ、これに参加したいな」という感じだった。それから脚本を読んで、僕は、冒険がそこにあり、魅力がそこにあるなと考えた。それに、彼ら[脚本家たち]は彼[ハリソン]の年齢を実に適切な方法で考慮していた。彼らはそこ[年齢の話]に常に踏み込んだりしなかった。彼らはたまにそれ[年齢の話]にぶつかるだけで、僕はそれが素晴らしいと思った。だってもしそれがやりすぎだったら鬱陶しくなっていたはずだから。そして、エンディングがまた美しかった。僕は「これは面白い。インディ・ジョーンズの作品にしてはかなり感動的だ」という感じだった。

VF: 映画の中でナチを演じることは、時にありきたりになりがちで難しいかと思います。あなたはどのように役を作り上げましたか?

マッツ:もちろん、イデオロジーに囚われてしまった誰かの話というものはあるものだけど、それは僕たちが語ろうとしている物語ではないと思ってる。僕たちは、ドイツで30年代から40年代に科学者だった男についての物語を語っている。彼はドイツ人で、だから明らかにその集団の一部だろう。そうでないはずがない。しかし、彼の愛や彼の夢は、科学的な領域にある。ただ、もしその[ナチの]イデオロジーがその[科学的領域の]一部でありうるのなら、それは職場において都合のいいことではある。でも、何よりも第一に、彼はインディと似ていないわけじゃなくて、彼は、彼の科学に対する情熱によって突き動かされているんだ。

VF: その役を演じるにあたって、リサーチはかなりされましたか?あなたは歴史マニアだと聞いていますが。

マッツ:いや、そんなにリサーチはしていません。その役は、よく知られている何人かをベースに作られているのが明らかだった。一人はヴェルナー・フォン・ブラウン。フォン・ブラウンが誰か、何の仕事をしていたかなんて、なんにも秘密ではない。その役は、実際は主に彼の見た目をある程度ベースにして作られている。だって彼は50年代、60年代の実に素晴らしい波打った髪型をしていたからね。僕はその見た目を本当に楽しんだよ。服装について言えば、僕たちは彼が少しだけ過去に引きずられているようにしたかった。少しだけ、インディのように。彼もインディもそんなに動いていないけど、世界は動いたんだ。でもそれは本当に面白かったよ。だって僕があまり動いていない時の髪型は、フォン・ブラウンの髪型と全く同じだったから本当に大好きで、でも僕が動き出した瞬間に、それは崩れ落ちて僕はボーイバンドのような見た目になってしまってた。

VF: あなたのご友人が仰ったように、あなたは色んな大きなフランチャイズで悪役を演じてこられました。この作品のような歴史のある類のプロジェクトの場合、悪役を演じるにあたって何か似通ったアプローチをされますか?

マッツ:最初にしないといけないことの一つは、参加する世界[universe]を理解することだと思います。それがスターウォーズでもボンドでもインディでも。そこにはある特定の色合い[tone]がある。それをいつも具体的に指し示すことができるわけではないけど、でもそれが無ければいつでも分かる。僕たちにとっては、それは「そのフレームの中にいよう。そのフレームを少しだけ押し広げることはできるけれど、それを壊すのはやめよう」という感じ。その世界が作品の中にないといけないんだ。でも、一般的にいうと、僕はただできるだけコインの両面を持った役になろうとアプローチするだけ。ハリソンのインディアナ・ジョーンズを見てみて。彼はヒーローだ、だけど彼は他の役と同じくらい欠点がある。彼は嘘をつく、ズルをする、お酒を飲む、だから彼は人間らしくなる。だから悪役についても同様に、その人間性を何とか見出さないといけないんだ。それ[悪役の人間性]を確認できるシーンがたくさんあるということはそんなにない。細々とした事柄[人間性の発露]を見つけようとし、それを正当化するのではなく、ただ認識する。何かを見つけ出して、その悪役が完全に異質なものにならないようにしなければいけない。

[★ここから★]

VF: その作品の最初の部分はフラッシュバックで、若返り[de-aging]の技術が使われました。あなたにはそれが本当に必要だったとは思えないのですが。

マッツ:(笑)いや、それは全てこの細かなものについてでね(マッツの目の周りを指し示す)。でも、彼ら[製作陣]はそれをしなくてもいいんじゃないかということを実際に話していたから、僕は不安だった。例えば、僕が28歳の時に髪を完全に真っ黒に染めるのであれば、おかしくはないだろう。でも僕が57歳の時なら、僕は老婆のように見えてしまう。でも彼らは何かやったんだ。ハリソンについて行ったテクニックと同じではないんじゃないかと思う。だって彼らは若いインディとしての映像を全て持っているのだから、何か別のことをしているはず。

VF: あなたから見るとそれは奇妙ですか?

マッツ:少し変だった。彼らはかなり仕事をしたんじゃないかと思う。僕はプラスチックの臭いを感じるけど、それができるということは素晴らしいことだ。この類の、時間を飛び移る映画にとって、それはすごいこと。もし僕たち[俳優]が要らなくなったら、僕たちの誰もその大ファンになることがないものだ。それは僕たちが欲しいものじゃないんだ。でもハリソンはその全てのシーンを演じたから、彼らは彼の見た目だけを変えた。だから彼らは今のところ、僕たちがまだ必要なんだ。

[作品中の若マッツは、演技自体もマッツがしていないということなんでしょうか🤔]

[★ここまで★]

VF: 今までのこの映画祭で何かお気に入りの思い出はありますか?

マッツ:ここで主演男優賞を獲得したとき以外を探すのは難しいな。それは僕にとって間違いなく夢のようで、素晴らしく、美しい日だった。僕はルーマニアでの撮影のために15分後には去らないといけなかったから、それを満喫する時間はあまりなかった。でもその日のことが大好きだ。そして、審査員だったとき。それはすごかった。すべての映画を観て、それらのシーンの背後にあるドラマを理解することは素晴らしかった。「僕たち[審査員達]がこんなに意見が違うことってある?」という感じだったけど、うん、あったんだ。面白かった。

VF: 映画のプロモでここにいらっしゃると、他の映画はあまりたくさん見れないのかなと思えるのですが。

マッツ:うん、見るチャンスはない。それに僕は元からそこまで映画マニアでもなくて。僕はスポーツを観るんだ。僕はスポーツがとてもドラマチックに思えがちで。

VF: 今年はオープニング・ナイト作品である『Jeanne Du Barry』に行かれましたね。ファン達はあなたとジョニー・デップが挨拶をしたことに気付きました。『ファンタスティック・ビースト』で彼の役を引き継いだ事実について、何かぎこちなさはありますか?

マッツ:いいや、全く何も。何年か前に僕は彼に会って、色んな人たちとともに僕たちはディナーを一緒に過ごした。彼は本当にいい人のように見えた。その後、すべてのことが起こって、そして僕はそのオファーを受けた。僕は彼の電話番号を知らなかった。裁判所が判決を出した。もしそれがある方向に進んだなら、それがその方向なんだ。もしそれが違う方向に進んだなら、それがその方向。で、それはその方向に進んで、そして彼は戻ってきた。彼が戻ってくるのを見れてよかった。本当によかったよ。実際、彼はただこう言ったんだ「彼[グリンデルバルド]を演じたのが君で、僕はめちゃくちゃ嬉しかった」と。彼からの優しい言葉だった。


 

マッツとジョニーが素敵な会話をしていたと知れて、本当によかったです。あと、インディーの若マッツがどんな感じなのか気になりますね👀あまり違和感がないといいのですが。

ちなみにインタビュアーであるRebecca Fordさんは、2017年のカンヌの際に下記の動画を以前撮って投稿してくれた方でした✨

 

さて、ジョニーとの会話は素敵なのですが、それとは別の話として、ファンタビ以前からマッツのファンだった人なら、マッツがグリンデルバルドを演じると報じられた当時どれほど心ない言葉を浴びてきたのか覚えていますよね(下記のAPの投稿に対する英語のリプを読むだけでも垣間見れるかと思います)。その後からマッツの公式Twitterが一切更新されなくなったことも。

お二人の間で何のわだかまりもなさそうな点はとても嬉しいのですが、では当時の酷いバッシングは一体何だったのか?マッツを叩いた奴らは何か責任を取ったのか?と改めて思わざるを得ません。(尚、マッツを攻撃した人たちは自称ジョニーファンが少なくないですが、彼らを諫めるジョニーファンの方達も多かったので、ジョニーファン全体の問題ではなく各人の問題と考えるべきかと思います。)

結局、俳優達を傷付けるのは本人達というより、断片的な情報を好き勝手に繋ぎ合わせて妄想し攻撃する人間性に欠けた人たちと、それを過剰にネタにして閲覧数を増やしたいメディアたちでしかないのかもしれません。

最近も色々ありますよね🙄事実と確定していない情報を寄せ集めて妄想爆発させた人たちが(マッツ本人の思想についても、コミコンでチケ追加した責任が誰かも、etc.)。

「自分はバランスの取れた情報の捉え方や考え方ができているか?」と反面教師で気を付けたいところです。特に「誰かを叩きたい衝動」を自分の中に感じたらすぐ止まるべき。

尚、個人的には、マッツに対する他人の非論理的な妄想ツイに対しては、反論するよりも別の話で盛り上がってTLを流すのが良さそうと思っています。反論するほどより多くの人の目について無駄に炎上しますし、妄想爆発してる人はそもそも聞く耳を持たないので話しかけるだけ無駄です。