L’Officiel Hommesのインタビュー和訳(2018/11)


雑誌購入者限定で和訳を公開していましたが、この度インタビュー内容がWeb上に公開されたので和訳もここに公開します。

この雑誌、マッツの素敵な写真も豊富ですが、インタビューも充実していたので是非とも読んでいただきたいです。難民のことやお気に入りの自転車とかに触れてるの初めて見た気がします。

雑誌の購入方法は下記を参考にされてください。

和訳はいつものように直訳気味、[ ]は私の補足、固有名詞の和訳は適当です。今回はオランダ語をGoogle翻訳を使ったりして英語にしたものをさらに和訳しているので、一部誤訳があるかもしれません。気付き次第直していきます。また、いつも以上に日本語が変な部分あります。すみません。


Source: L’Officiel Hommes NL
[写真キャプション] ジャケットとシャツ: Dior Homme

マッツ・ミケルセン: スターダムに逆らって

写真: LAURA MARIE CIEPLIK
クリエイティブディレクター: NICOLETTE GOLDSMANN、TANNE GIELEN
スタイリング: CAMILLE-JOSÉPHINE TEISSEIRE
文: ROBBERT BLOCKLAND

マッツ・ミケルセンは遅咲きだ。30歳を過ぎてから、初めて彼の映画がヒットした。しかし一方で、この52歳のデンマーク人はハリウッドのトップに属している。彼は、スターウォーズやドクター・ストレンジのような超大作と、サバイバル映画である『Arctic』のようなより小規模なアートハウス向け[arthouse-uitdagingen; 映画ファン向けの小型の映画館(arthouse)での評価を意識するような]との間で、意識的に時間を分けて使っている。我々はカンヌにて、この俳優と対話した。

[写真キャプション] シャツ: Ermenegildo Zegna Couture、ボトム: Dior Homme

「僕はいつもダンスの授業で習ったことをアクティビティをするのに役立ててるんだ。優秀なスタントは、どうやったら痛すぎることがなく最高に落ちることができるかを知ってるものだ」

おそらくハリウッドには、マッツ・ミケルセンよりもより楽しい対話相手というものはそうそういない。この性格のいいデンマーク人の茶色の瞳は、質問に答えるときはいつもジャーナリストを見つめている。彼はいつも言葉豊かで、優れた話し手であり、いつも明快でまっすぐな答えを与えてくれる。ただ一つだけタブーな話題がある: 彼のタバコ中毒だ。「やめたいんだけど、でもうまくいかないことってあるんだ」と短く言い訳をし、10分間で2本目のタバコに火を点けた。どのくらい喫煙してるんですか?「長すぎるほどの期間。僕が吸い始めたとき、僕は若過ぎた。そして僕はそれを誰にもおすすめできないよ」。

バレエダンサー
インタビューは、カンヌにあるシックなMartinez hotelのテラスで行なった。そのデンマーク人のスターは、20年ほど前から、このファッショナブルな南仏の海辺で行われる名高い映画祭の常連客であり続けている。
2006年に『カジノ・ロワイヤル』での役で手にしたハリウッドのステータスは彼を変えることはほとんどなかった、と彼は満足そうに自身を振り返る。「有名になると、いくつかの実際的な点は変わる。道端で誰かが近付いてくることが増え、世界中で気付かれずに休日に行ける場所がより少なくなる。でもそれ以外では、そんなにすぐに別人になったりしない」。ミケルセンが30歳を過ぎてから人気が出たことが理由の一つかもしれない。「その年齢だと、自分が何者で、自分の基準が何かを理解している。僕はもはや自分を証明[主張]する必要がなかった。それに、世界がどう動いているのかも知っていた」。

初めはミケルセンはバレエダンサーとしてのキャリアを目指していた。彼はGothenburgにあるバレエ・アカデミーでのトレーニングを修了して、10年以上ステージに立っていた。その期間に、彼は彼の妻である振付師のハンネ・ヤコブセンとも出会った。1990年代後半、彼は次のキャリアについて考え始めないとならず、彼は演劇に目を向けた。「僕は今でもそのトレーニングの恩恵に預かっている。アクション映画を作るときにね」と彼は笑う。「素晴らしいスタントというものは、どうしたら大きく痛むことなくうまく落ちることができるかを知ってる。とは言っても、僕の身体が20歳のときほどではないと気付いてるけどね。」彼は滅多にダンスをしない。「妻と僕は、長いあいだタンゴのコースに登録しようと計画してるんだけど、時間がないせいでまだ実現してないんだ」。

マスター・プランは無い
彼の遅めのブレイクはまた、ミケルセンにキャリアの選択について注意深く考えるチャンスを与えた。その受賞歴のある俳優は、スターウォーズのスピンオフであるローグ・ワンやMarvelのヒットであるドクターストレンジのような巨大な映画と、観客をなかなか惹き寄せないより小規模な作品を、意図的に行き来する。「僕は、自分が本当に作りたいと思うプロジェクトにだけ参加する」とその俳優は彼のキャリアのテーマ[主題]を定義する。「それは気分によることがしばしばだ。ときには大きな映画、ときには小さな映画、と。僕はまた、何を成し遂げたいとか10年のうちにどこにいたいとかのマスター・プランも持ってない。そういうのは、ただ僕のやり方じゃないんだ。」
多様さこそが彼の人生を楽しいものにする、とそのスターは強調する。「僕は、同じことを毎日しないといけなかったらすぐに飽きてしまうような人間なんだ」という。

[写真キャプション] スーツ・シャツ: Dior Homme、腕時計: Ulysse Nardin

「僕は有名さというものが、必ずしもすべての物事について意見する権利を与えるとは思わない」

「それは大きなCG映画についても言える。もし僕が剣で巨大な蠍を攻撃する映画だけを作っていたら、僕はとても不幸せだったと思う。でも、同じことは『偽りなき者』や『Arctic』といった小さな身内のドラマにも当てはまるんだ。僕は両方の世界のベストな部分から恩恵を受けている。『ローグ・ワン』や『ドクター・ストレンジ』といったスペクタクル作品は、お金がかかりすぎるから欧州では作ることができない。虐待で訴えられた教師についての『偽りなき者』のようなドラマは、ハリウッドではあんな妥協しない方法では作れない。
彼のファン層は、有名な映画とハンニバルシリーズの成功を通じて成長した。ミケルセンはよくサインやセルフィのために呼び止められる。「それは実はジェームス・ボンドの後に始まったんだ」と彼は笑う。「それはちょっとした波で。ある大きな映画が世に出ると知名度が上昇するんだ。でも僕は、それに自分の人生を好きはさせない。そうでないと大変だから。大体はただ良い反応だよ」。そしてときには人々はそのデンマーク人に普通ではないものを見せる。「僕は最近ある人に出会って。その人は『ちょっと待って。見せたいものがあるんだ!』って言った。彼はズボンの脚のボタンを外しだして、そして僕の顔のタトゥーが両方の脚にあったんだ。ひとつは僕のもので、もうひとつはハンニバルのようだった。そういうことは頻繁には起きない。でも僕はほんとにそれにどう反応したらいいのか分からなかった。」

最も醜い男
成功に伴って、受賞も増えた: たくさんの賞が彼のクローゼットの中に立っている。「地球上で最もセクシーな男」のような賞は、ミケルセンにとってはあまり意味がない。「それにその賞は数年前だし」と、彼は賞賛の言葉をすぐに振り払った。「それはもちろん”地球上で最も醜い男”と呼ばれるよりはずっといいけど、僕がほんとに気にするたった一人は僕の妻だ」。
その俳優は、評価や回顧[evaluation and musing; 自分自身を振り返っての評価・考え込み]する男ではない。彼は自身の作品を振り返ることはないと言う。「僕は、僕が作ったほとんどすべてのものを心から誇りに思っている」と彼は説明する。「でも僕は、自分がしたことや成し遂げたことをメランコリックに振り返るような人間じゃない。僕は今を生きている」。2年前、ミケルセンは50歳になった。「うん、僕は今統計学的に[一般的な人生の]半分をすぎたところだ。でも、何がそれを実感させるんだろう?僕は美しいものにエネルギーを注いで、楽しいことをする方が好きだよ」。
とてもはっきりと、そのデンマーク人は、未来に対して何の野望も欲求も持っていないと言う。「僕はいい生活を送っている。僕はこの生活を長いあいだ続けたいと強く思ってる」と彼はまとめる。「ときには僕は成功して、ときにはそうではない。僕は自分がするすべてのことを楽しんでいて、それはすごい特権だ[voorrecht (privilege); 恵まれていること]」。たまに、今やどちらも20代になった子供達が、ときどき彼に古い役や作品について質問する。「僕は当時彼らの目に触れさせられないような作品をかなり作っていた」と彼は笑う。例えば、90年代半ばにミケルセンは暴力的なデンマークのクライム・スリラーである『Pusher』でデビューし、『Open Hearts』や『After the Wedding』といったオスカーにノミネートされたドラマでの繊細な役にて、小規模な映画館で名が知られる[arthouse circuit]ようになった。
「ときどき彼らは急にそういった古い作品を引っ張り出してきて、それについて何かを知りたがるんだ。それはいつだってもちろんいいんだけど。でもリアーナの”Bitch Better Have My Money”の動画で演じられたときほど[子供達が知りたがる役が]クールなことはないけどね。それ以後、子供達はほんとうに僕をちょっとだけ見直したんだ」。さらに、このデンマーク人のスターは、仕事とプライベートを可能な限り切り分けようと努めている。「僕は映画を撮影中に子供達にその役の名前で話しかけるように教えるような人間じゃない」。

難民
ミケルセンは、自分の意見をあちこちで披露することで人気を得たスターでもない。その反対である。彼は新しい作品の販促をすることが好きだが、それ以外では彼はできる限り公の場から遠ざかっている。「僕は有名さというものが、必ずしもすべての物事について意見する権利を与えるとは思わない」と彼は説明する。「もちろん僕は意見を持ってる。ときにはとても深い意見を[zinnige (sensible); 分別のある、理解できる、嚼み分けられる]。そして友人とだったら、僕は思ったまま言うのに失敗したことは一度もない。でも僕は、有名だからってすべてのことに通じていると考える人のことは、ちゃんと理解できることは絶対にない」。その俳優は、彼が人々に注目してほしいゴールを思慮深く選ぶ。「僕は難民たちのために活動している団体にたくさんの感謝の気持ちを持っている。僕は最近、バラバラになった移民[immigranten]の家族たちを再び一緒にさせようと活動しているデンマークの団体が行ったキャンペーンに協力した。もし僕がメディアで何回かそれに触れることでそういった素晴らしい計画[initiatives]を手伝うことができるのなら、僕は喜んでそれをするよ。」
ときどきミケルセンは、映画を選ぶことによって、特定の物事についての理解や知識をほんの少し伝えたいとも願う。彼の最新のドラマ『Arctic』では、このデンマーク人は、飛行機の墜落ののち北極で遭難する男を演じる。

スーツとシャツ: Dior Homme
グルーミング: Dariia Day (Atomo Management), L’Oréal Professional. ヘア: Ludovic Bordas, Dessange Paris. Charles MartinyのHotel Martinez Cannesに感謝。

「この映画を見る予定の人はみんな、僕たちが地球をきちんと扱っていないということを知っている。僕たちが何をしようと、地球が勝つんだ」

彼の役であるOvergardは、厳しい天候や野生動物に脅かされ、自身の生き延びるための発明に頼っている。しかし、その俳優は北極からのメッセージを伝えないでいたい。「みんな、その映画を見る予定のみんなはきっと、僕たちが地球をきちんと扱っていないということを知っている」と彼は言う。「僕たちが何をしようと、地球が勝つんだ。その映画はそれを変えようとはしない」。彼はArcticを第一に「サバイバルドラマ」と見ている。「Overgardは残酷に教えるんだ、生き延びることと生きることの違いを。僕はそれっていいメッセージだと思う。それは滅多に十分に語られることのない物語だ」。

穴に嵌った
自然への愛は、このデンマークのhunk[肉感的なイケメン]の血に刻まれている。彼の大きな情熱のひとつは人が住めない場所を歩き回ることで、彼は若いときにその情熱/愛を実行した。「6歳の少年だったとき、僕はかなり遠くまで歩いて、誰も僕がどこにいるか知らないことがあった。僕自身もどこにいるか知らないことがしばしば。そして僕は座って考えていた: もし僕が今立ち上がらなかったら、誰も僕を見つけないだろう。そして僕は完全に自分自身に頼っている[自立している]。じゃぁ僕は何をしよう?と」。その観点で、ミケルセンはとても嬉しくなる。「人間として僕たちが対抗して守りきれない物というものは確かにある。そしてそれはいいことで、ホッとできる[geruststellende (英reassuring)]考えに近い。自然はときどき僕たちに、僕たちが何者であるか、特に、僕たちが何者でなく何ができないかを思い出させてくれる」。
[撮影]セットにはいつも自転車がある。スケジュールが変わってその時間ができたら、ミケルセンはその自転車でひと息つくのが好きだ。「それか近くにジムがないか探してる」と彼は言う。「撮影中にアイスランドで十分な運動をしたけれどね」。さらに、彼はその遭難した役らしい痩せた見た目になるために厳格なダイエットをしていた。「幸いにも、僕は生魚が大好きで。僕は寿司の大ファンなんだ」。
そのスターは、Arcticの撮影を色んな意味でここ四半世紀に彼が経験した中で最も困難な撮影と呼ぶ。19日のあいだ、それはアイスランドで行われた。その人の居住できない地域で、雪と氷のシーンが撮影された。当初は25日間が計画されていた。しかし雪嵐と暴風が妨害した。「その作品で目にするものは、全部僕たちが実際に行ったことだ」と彼は誇らしく語った。「雪の中を掻き分けて進むことや氷の丘を登ったりね」。
彼の足が岩の下になった[落ちた]シーンですら、撮影時に実際に彼に起こった出来事をもとにしている。「僕は穴に嵌ってしまったんだ。監督のジョー・ペナがすぐさまカメラマンを寄越してくれた。その後だけだよ、彼らが僕を抜け出させてくれたのは」。

嫉妬深いホッキョクグマ
ミケルセンは、その2時間の映画の大部分で画面に映るたった一人の人間だ。「それはかなりトリッキーだ。だってカメラ向きの自分でいることがより多くなって、より早く自分自身に疲れてくるから」と彼は笑う。「さらに、それはある意味で自分を不安な気持ちにさせる: 僕は小さく演じすぎじゃないだろうか?この作品をドラマティックにしそれを維持するような画が十分あるだろうか?と」。でもそういうのは、俳優ならそういったときには追い払わなければいけない考えだ。「僕は大げさに演じるべきではなく、ただ、共演者とカメラの前に立っているときにするであろうことをし、僕の役がするだろうと思われていることをしなければならない」。
ホッキョクグマとの対立は、彼がずっと忘れないであろう経験だ。「この世にはたった1匹だけの調教されたホッキョクグマがいて、それは人が望むほどには調教されていないんだ。その吠え声もまた撮影後に挿入された。というのも、もしセットいにるホッキョクグマがそんな音を出し始めたら僕たちはみんなかなり急いでその場を去らないといけなかったから。彼女[クマ]はまたとても嫉妬深かった。彼女がいるときは、その調教師の男性と直接会話することは許されず、彼の妻を通じて話さないとならなかった。そうでないと彼女は怒った反応をした」。

過激な趣味
こういった過激な経験をする機会には大きな見返りがある、とミケルセンは認める。「この仕事は、人が日常生活では簡単に出くわすことのないであろうことをする多くの機会を与えてくれる。僕の仕事は、僕の人生においては境界を見上げることができる場所なんだ。僕はそういう機会を取るし、それらは僕を違う人間にする」。その吐き出し口があるから、彼はプライベートでは過激さをほとんど必要としない。「日常生活では、僕はかなりつまらない人間だ。セットの外で殊更自分を主張する[bewijzen; prove myself; 自分の力量を証明する]必要性をほとんど感じないんだ」。
彼がする唯一の過激な趣味は、彼のアンティークの自転車でするサイクリングだ。「僕はときどき一人になるのがとても好きなんだ」とそのスターは頷く。「それは人の住めない森の中をずっと[lange wandeling; long walk; 時間的というよりも遠くまで歩くといった意味合いかも]散歩したり、あるいは僕の1967年のFord Mustangに乗ることでやってる。僕は50年代や60年代の物が大好きだ。今よりも美意識やデザインがもっとずっと価値のあったように思えるその時代の物が」。彼は実は、Arcticでの彼の役の強制的な孤独を、こっそり羨ましく思っているだろうか?彼は笑った。「いいや、絶対にない。孤独というものは、愛する人の元にすぐに帰ることができるという選択肢がいつでも選べると分かってるときにだけ、楽しいものだと思う」。


以上です!

以下、個人的な感想。
– Hanneさんとタンゴとか絶対素敵ですよね。見る機会なさそうだけど。うぅ。
– 難民のことちゃんと考えて支援してくれてるマッツほんと素敵です。個人的に私もずっと複数NGOを支援していたので、好感度ゲージが振り切れて2周くらいしてます。
– あとはマッツの「Arcticは環境保護訴える映画じゃないよ…」って声が聞こえてきそうなそつのない回答大好きです。
– アイスランドで穴にはまったとか泣く。クレバスじゃないですよね流石に。クレバスならほんと心臓キュッとなる。ほんと命だけは大事にしてほしいです。。
– どこまでもズンズン歩いていくマッツ少年かわいいな!!
– 自転車のこと語るマッツいい。Mustangかなりいい自転車だそうで。
– 最後の最後の一文、愛がこもってて最高です。ニヤニヤが止まりません。ありがとうございました🙏🙏翻訳してよかった!